雑誌『いちごえほん』や『詩とメルヘン』に作品を収めてきた絵本作家・葉祥明氏が語る、やなせさんの在りし日の姿。

 やなせさんはいろんなことをやってきたけれど、芯の部分には常に「漫画家」を置いていて、その気持ちは揺るがない人でした。

 僕が28歳の時、少し前に『ぼくのべんちにしろいとり』という創作絵本を出した僕に、サンリオの出版部から「会いたい」と電話があったんです。僕は詩人として自由に生きたかったから、仕事を受ける気はなかったの。だけど会うだけなら、と当時五反田にあったサンリオに行ったんです。

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source : 週刊文春 2025年5月1日・8日号