アメリカでトランプ大統領が誕生した背景には、ハーバード大学などを卒業した高学歴のエリートがリベラルな方針を「押し付けてくる」ことに対する被害者意識を持った低学歴の人々の反発があったのではないか。「白熱教室」で知られるハーバード大学のマイケル・サンデル教授は著書『実力も運のうち』で、こう分析しています。

 彼はハーバード大学の学生たちに、次のように語りかけます。

 君たちは、「一生懸命勉強したから高い偏差値の大学に入れた」と思っているかもしれないが、その発想は、逆に言えば低学歴の人たちは「努力をしなかった」と言っているようなものだ。家が貧しく高校や大学に行けなかった人たちは、努力をしたくてもできない家庭環境があった。エリートの君たちは、「実力」があると思っているだろうが、大学へ行く勉強ができる裕福な家庭に生まれ育ったからだ。つまり「実力」は「運」があったから発揮できたのだ。

 これが「運も実力のうち」ならぬ『実力も運のうち』という書名になっている理由です。

 また、アメリカの底流には伝統的に「反知性主義」もあります。知的エリートへの反感や、民衆の素朴な感性を重視する感覚です。知性ある人は、いわゆる「大衆」から敬遠されたり軽侮されたりする存在なのです。

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source : 週刊文春 2025年5月15日号