(わたなべじゅんいち 天文学者。1960年、福島県生まれ。東京大学、同大学大学院を経て、87年東京大学東京天文台に入台。以降、自然科学研究機構国立天文台副台長を経て、現在は同天文台上席教授。一般向けの著書も数多く出しており、近著に『なぜ彗星は夜空に長い尾をひくのか』がある。)

 

 天文学者が家を建てる時にこだわることと言えば、建物の四面と東西南北がしっかり合っていること。それから窓の大きさと方角。そして、そこから見える星空でしょうね。私が、2002年に東京の小金井市に建てた家もご多分に漏れず、2階にあるリビングは正南に面していて、ほぼ全面、掃き出し窓。そこからテラスに出て夜空を眺めれば、年に3、4回ほどは「カノープス」が見られます。全天でシリウスに次いで明るい星ですが、南の地平線ぎりぎりの低い位置にあるので、条件が揃わないと見るのが難しい。北に行くほど見えなくなるので、僕の故郷の福島県が北限。磐梯山に登るとやっと見られる、憧れの星でした。だから、僕が家を建てるなら、カノープスが見える場所。これが最大の条件でした。

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source : 週刊文春 2025年5月15日号