(ひらまつえり シンガーソングライター。1964年、兵庫県生まれ。89年ソロデビュー。「部屋とYシャツと私」で日本レコード大賞作詞賞を受賞。今年6月1日に大手町三井ホール、同22日に神戸朝日ホールでツアー「北風と太陽と私」を開催し、会場限定で新曲シングル「北風と太陽〜エピローグ」を販売予定。)

 

「部屋とYシャツと私」は、私の曲の中で最も歌うのが難しいんですよ。しかも、ドラマやCMのタイアップ曲でもなく、ヒットする要素はゼロだった。どうしてこれが自分の代表曲になったのか、今でも不思議なくらい(笑)。

 ただ、近年、この曲は配信サービスなどで若い人の間にも広がっているそうなんです。「カラオケで歌っています」と声をかけてくれる人や、セルフカバーしてYouTubeにアップしてくれる人も。時代を超えて愛される曲になったことが、本当に嬉しいです。

「部屋とYシャツと私」や「素敵なルネッサンス」などのヒット曲を持つシンガーソングライターの平松愛理さんは、1964年、神戸生まれ。父は内科と小児科の開業医で、自宅の1階に病院を併設。多い時では7人の看護師が住み込みで働き、大人に囲まれた生活を送っていた。

 1階の病院部分には待合室、診察室、調剤用のスペースなどがあり、奥が台所やお風呂などの住居スペース。看護師さんの休憩所も備えていました。2階は看護師さんたちの寝室、両親と私、3歳上の兄が過ごす居間や寝室です。

 町医者とはいえ、多いと一日200人もの患者さんがいたので、父は忙しそうでした。母も調剤の手伝いなどに忙殺されていて、遊び相手は非番の看護師さんや出入りしている製薬会社の営業マン、隣の家の7歳上のお姉さんでした。

 音楽との出会いもそのお姉さんがきっかけです。3歳の頃、お姉さんのオルガンを弾かせてもらったら、鍵盤を押した瞬間に「フワーァ」という音色が心地よくて虜になりました。両親に「私も欲しい!」とねだったのですが、買ってもらえたのはピアノ。近所のオルガン教室に通い始め、いつしか、ピアノを弾きながら思いついた言葉をメロディに乗せて歌うように。私にとって音楽は楽しい遊びの一つだったのでしょう。

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source : 週刊文春 2025年5月1日・8日号