どうしてみんなと同じようにできないんだろう。笑ってかわすことが、穏やかにいなすことが、あえて聞き流すことが、上手くできないんだろう。無様な自分が情けなくて大嫌いになったことなんて、一度や二度ではない。でもこれって、私だけなのかな? 『君と宇宙を歩くために』を読んでいると、そんな人の数だけあるはずの“普通”に覚えた違和感ごと、そっと抱きしめてもらえたよう。心がぽかぽかと温まるのを感じた。
勉強もバイトも苦手なため、諦めて無気力になっているヤンキーの小林大和のクラスに、風変わりな宇野啓介が転校してきた。宇野がいつも大切そうに持ち歩いているノートをテザー(命綱)と呼び、困った時のための対策をメモしていることを知った小林は、自分もバイト先で同じように工夫してみようと思い立つ。宇野と話すことで自分だって頑張りたいんだと気づいた小林。一方の宇野もまた、小林という初めての友人を得て少しずつ変わっていく。
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source : 週刊文春 2025年5月29日号