「有名病院」医療従事者ワクチンを横取り接種した「2兆円企業」会長

「週刊文春」編集部
ニュース 社会 医療

 4月20日、午前9時前。房総半島南部の千葉県鴨川市にある亀田総合病院の裏口に、品川ナンバーのセンチュリーが横付けされた。降り立ったのは老齢の夫婦。アテンド役の女性職員に導かれ、病院内に入っていく。30分後、2人は再び車に乗り込むと、職員に恭しく見送られて走り去った――。

 この2人とは、システム関連会社で「勘定奉行」のCMで知られる「オービック」会長の野田順弘(まさひろ)氏(82)と、妻で相談役のみづき氏(86)だ。夫妻が1968年に大阪で創業した同社は、システム構築の分野で急成長し、00年には東証一部に。連結売上高は800億円、時価総額は2兆円を超える。一代で巨万の富を築いた野田氏の保有資産は約4700億円。米経済誌『フォーブス』の今年の長者番付では孫正義氏や柳井正氏、似鳥昭雄氏らに次いで国内11位。19年、当時の安倍晋三首相とトランプ米大統領がゴルフをした茂原カントリー倶楽部のオーナーであり、夫婦そろって多数の競走馬を持つ馬主としても知られる。

オービックの野田会長(同社HPより)

 そんな野田夫妻が、田園調布の大豪邸から車で2時間近くかけて千葉の病院までやって来たのはなぜなのか。病院関係者が明かす。

「野田夫妻は、当病院にとって最高ランクのVIPです。毎年多額の寄付を受けており、2012年に亀田医療大学が開学できたのは、野田夫妻の支援があったからこそ。みづき夫人は同大学の理事も務めています。病院はそんな上客のために、ルールをすり抜けて新型コロナのワクチンを優先的に接種したのです」

 政府はワクチンの優先順位として(1)医療従事者、(2)65歳以上の高齢者、(3)基礎疾患がある人の順に定めている。医療従事者は勤め先から接種券が渡されるが、野田夫妻が該当する「高齢者」には、居住する自治体から発送される。夫妻が暮らす東京・大田区で高齢者への接種券発送が始まったのは5月17日。2人は、その約1カ月も前にワクチンを接種できたことになる。

「(居住地以外の)かかりつけ医で接種するにしても、通常、接種券が来た段階で病院に予約を入れます。ワクチンの記録・管理のため、(正式な)接種券がなければワクチン接種はできないことになっています」(大田区感染症対策課)

 しかし――。前出の関係者が続ける。

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source : 週刊文春 2021年5月27日号

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