幸運を運んできてくれた私の相棒たる猫のベレンが突然、私の腕の中で逝ってしまった。ベレンとの別れが残したトラウマと向き合い続ける私の背中を強く押してくれたのは──。

 代々、猫との暮らしを絶やしたことのない家に生まれた。中でも万延元年生まれの曾祖母が無類の猫好きだったということで、彼女は息子に猫好きの嫁を探してきたそうだ。

 私のイタリア人の夫も「僕が人を信用するかどうかは、その人が猫を飼っているかどうかで決める」と言って憚らない。

イタリア・パドヴァの自宅で。窓外を眺める、ありし日のベレン。

 猫は人間よりはるかに短命なので、これまでに永遠の別れも何度となく経験している。

 シリアのダマスカスで拾い、ポルトガルまで一緒に連れてきたゴルムが4歳のときに預けた先で事故死した際は、何カ月もの猫ロスに陥った。私が責任を感じて毎日泣いているのを見かねた夫から、「君のその愛情を必要としている猫を見つけたよ」と背中を押されて出会うことになったのがベレンである。

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source : 週刊文春WOMAN 2025夏号