近年の香港映画では異例といえる興行収入5億円を突破し、今年1月17日の日本公開から、現在もロングランヒット中の『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』(原題『九龍城寨之圍城』)。「東洋の魔窟」として知られる1980年代半ばの巨大スラム街・九龍城砦を舞台に、男たちの熱い絆と壮絶な戦いを描いた本作に魅せられたのは、従来の香港・アクション映画ファンだけではなかった……。

 そこで本作の日本上映権を買い付け後、宣伝プロデューサーとして、さまざまな戦略を仕掛けてきた映画配給会社クロックワークスの小栁大和さん、これまで編集やパブリシストとしてアジア映画に関わってきた大島美樹さん。オフィシャルライターとして執筆・取材し、来日舞台挨拶のMCも担当した映画評論家のくれい響さんが、貴重な裏話とともに、この一大ムーブメントを振り返ります。

カンヌ国際映画祭で各国のバイヤーの間で話題に

くれい 小栁さんが『九龍城寨之圍城』の配給権を買い付けたのは、2024年5月1日の香港公開後でしたよね?

小栁 5月中旬にカンヌ国際映画祭に行ったときに、各国のバイヤーから「凄く面白い」という評判を聞いていましたが、映画祭の期間中に我々はスケジュールが合わず観ることができませんでした。帰国後、すぐに本編を観られる機会があってスタッフ数名で試写したところ圧倒されました。まるで少年ジャンプのような熱量の高いドラマで、アクション監督の谷垣健治さんが構成した武闘は凄まじいし、なにより日本人にも馴染み深い九龍城砦が舞台というのも大きかったですね。それで試写の直後にオファーをして、無事に買い付けることができました。

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source : 週刊文春WOMAN 2025夏号