第1回秩父文学祭が行なわれることになった。

 これは秩父市、西武不動産、そしてわが日本大学芸術学部が協力するいわば産官学共同事業だ。

「池袋駅から西武秩父駅まで、西武鉄道の特急ラビューに乗ると77分、その間で読める文学を」

 ということで、秩父短編文学賞が設立され、広く公募されることとなった。私は審査委員長に任命された。

 といっても、私は秩父に行ったことがない。

「えー、ハヤシさん、秩父って今、若い人に大人気なんですよ」

 うちの秘書が言う。

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source : 週刊文春 2025年7月10日号