つけっぱなしにしたテレビを、ぼんやり眺めていることがある。大抵は夕食の後かな。地上波に興味を惹かれる番組がないと、NHK BSの『英雄たちの選択』を観ることが多い。
珈琲を淹れて、期待もせずに画面を観ると“ラストサムライ 謎多き新選組隊士 斎藤一”とあって、思わず画面に集中する。
新選組といえば、土方歳三、沖田総司、そして近藤勇がMVPトリオだ。司馬遼太郎の『燃えよ剣』『新選組血風録』により、彼らの人気は不動となった。
原作も名作だが、ドラマの魅力はまた格別だった。とりわけ栗塚旭の土方歳三と、島田順司が演じた沖田総司は文句なし、歴代ナンバーワンと思う新選組ファンは少なくない。
「総司、妙な咳をするが大丈夫か?」「嫌だなあ、土方さん、私は元気ですよ」
この台詞のやり取りに痺れた。総司は重い結核を患っている。それを隠して陽気に振る舞う天才剣士の姿が切ない。

脇を固めた隊士のキャストも味があった。槍の名人の原田左之助を演じた西田良。剣の達人、永倉新八は黒部進。そして斎藤一役は玉生司郎だ。司馬は斎藤をこう書く。「剣は沖田総司ほどの天才性はないが、真剣に度胸がある」
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source : 週刊文春 2025年7月24日号






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