34歳、独身、子どもなし。都会にいればありきたりなはずのその肩書きが、近頃目の仇にされているようで少々息苦しい。「女性は子どもを産む機械」だなんて考えはとっくの昔に淘汰され、蔑まれるべきものとなったはずなのに、20代前半より40代前半の出生数の方が上回ったのはお前らのせいだと言わんばかりに責められているみたい。女性はすぐに辞めちゃうから採用しにくいって言ったやつがいたからこうなったんじゃないのかよ。すべての女性が産めるわけでも、産みたいわけでもないし、思うように生きる権利を誰しもが持っている。それは男性も同じこと。絶対に絶対に、私たちは悪くない。なのに、なのにどうして、仄かに罪悪感を覚えてしまうんだろう。産めなかったらどうしよう、と怯えてしまうんだろう。『元気でいてね』の中で、ある登場人物は言った。「私たちは何に許されたいんだろうね」。本当だね、私たちは何に責められていると、感じているんだろう。

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source : 週刊文春 2025年8月7日号