理想の最期について聞く「私の『大往生』」。第4回は作家の筒井康隆氏。昨年夏から神戸の高齢者施設で暮らす巨匠は、「死ぬまでの時間が退屈だから」と執筆活動を続ける。氏が生まれ変わったらなりたい意外な職業とは。

 卒寿を迎えた文学界の巨匠・筒井康隆氏。65年に及ぶ作家人生で出版した作品は600冊以上。その中で、時にリアルに、時に戯画的に、「死」を目の前にした人間の様々な姿を描いてきた。人間は死といかにして向き合うべきか。筒井氏が大いに語った。

「執筆が生きる原動力」

 昨年夏から、神戸の高齢者施設で暮らしています。きっかけは昨年の3月、家で転んで頸椎を怪我したこと。それまでピンシャンしていたのに、一瞬にして体が麻痺してしまった。それで入院を余儀なくされたんですが、この病院がひどいもので、えらい目に遭いました。手足の痺れはよくならないし、あちこち痛くて「助けてくれ」と言っても看護師が廊下で笑っている。

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source : 週刊文春 2025年8月14日・21日号