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 作家同士が互いの作品を批判し合うのに慎重になる理由は、批判の矛先が、作品のみならず、作り手である作家自身にまで及ぶ可能性が大きいからではないだろうか。

 小説は、編集者や助手などのサポートを、書く過程でいくらか受けたとしても、最終的には一人の人間が結末まで統括して書き上げる。映画や漫画、音楽などに比べると、作品作りに関わっている人数が、極端に少ない。また画家が一人で仕上げる絵画よりも、作家が一人で文章を並べた小説の方が、作者本人に関する具体性が高い。

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source : 週刊文春 2025年10月2日号