
差別という言葉が、すでに差別だと分かるのは、その言葉を書いたり言おうとしたりするだけで、しばし躊躇する間が空くときだ。差別の有無だけでなく、どこにどんな差別があるかに、さらに言及しなくてはいけない場合は、より気まずさを伴う。
人間、そっとしておいてほしいときがある。特に周りの人に馬鹿にされそうな“恥部”がある場合、明らかにするよりは、できるだけ隠して、それでもどうしようもなくてバレてしまったら、なるべく早く風化させたいという気持ちが働く。世間で恥部と呼ばれることを、恥ずかしいことじゃない、それが恥とか劣るとか感じ取ってる世間の方がおかしい、と立ち向かえる人は、よっぽど強い人だ。
世間に立ち向かえる人は、バッシングに耐える強さ、問題と向き合うための時間のゆとり、何を言われても引かない信念、粗探しされても悪いところが出てこない清廉潔白さが必要になる。
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source : 週刊文春 2025年10月9日号






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