「山口はもう、林一色。仕方ない、仕方ないのよ……」

 

 そうつぶやき虚空を見つめるのは、故・安倍晋三元首相の地元後援会副会長だ。今度の総裁選は、保守王国で連綿と続いてきたもう1つのバトルにも、決着がつこうとしている。

 3度目の正直で悲願の総理就任を狙う、林芳正官房長官(64)。与党が参院選の公約として掲げた現金2万円の給付案について、9月18日に出演したネット番組で「私だったらやらなかったかもしれない」と発言し、早々に撤回するお騒がせなスタートを切った。

 

「石破政権ナンバー2でありながら後出しもいいところだと批判を浴びた。林氏は石破氏の退陣を見越し8月中旬には自身のHPもリニューアル。石破路線継承を掲げ『石破票』を取り込もうと目論んでいるが、こうした不義理な姿勢もあってか、支持を広げられていません」(政治部デスク)

 出馬表明後、最初の視察先は、赤坂の「ソニー・ミュージックスタジオ」。得意のピアノ演奏を披露した。

「官房長官という立場上、都内を出づらい。とはいえ、物価高対策をアピールしようと、スーパーや子ども食堂を視察する茂木敏充前幹事長に比べ、『公家集団』と言われる出身派閥の宏池会らしさ全開でお高くとまっています」(同前)

 お公家な政治活動の一端は、林氏の収支報告書をめくれば、一目瞭然。資金管理団体「林芳正を支える会」の支出に並ぶのは、客単価数万円の高級料亭の数々だ。

 例えば、墨田区向島の花街にひっそりと佇む1軒の老舗フグ屋。プールのように巨大な生け簀が売りで「芸者さんを呼ぶこともできます。林先生は、いつも裏口から2階の座敷。VIPですから」(女将)。

 この店に2021年だけで約125万円を支出。他の料亭とあわせ“フグ支出”に直近3年間で総額432万円を使っていた。

 まだまだある。目黒区の「ビストロ×熟成肉」が売りのステーキ店では1日で36万9000円。更に食事だけで1人2万円、完全予約制の赤坂のうなぎ屋に、1日で22万円(いずれも23年)と続く。

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source : 週刊文春 2025年10月2日号