「勝負をしましょう、十五分の間にこの店に誰かが入ってくるか賭けるの」
思わず、僕とマスターは顔を見合わせた。
――ついに、噂の女勝負師がこの店にも?
マスターが仕入れてきた情報によると、同じ地下飲食街にある他の三つの店舗にも謎の女性が三日間相次いで出現して、店主と客にまったく同じ賭けを持ちかけてきたらしい。
どうやら、今晩はバー『サカノ』の番のようだ。
遡ること十分ほど前。
三日ぶりに『サカノ』に来た僕は、万田という名のもう一人の客と喋っていた。彼はここ十日ほど店に入り浸っている、新しい常連となりつつある老人だ。
僕らの話題は決まって事件や事故、都市伝説的な噂だった。
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source : 週刊文春 2025年10月16日号




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