一つの亡霊が日本をさまよっている。「森友事件」という亡霊が。呼び覚ましたのは高市早苗首相の国会答弁だ。
「新たな事実が判明していないため、改めて第三者による調査が必要とは考えておりません」
事件の再調査を迫られた11月5日の参議院代表質問で言い切った。これが、かつて安倍政権を揺るがした疑惑を呼び覚ましている。(肩書はすべて当時。文中〈 〉は筆者注)

発端は、財務省が森友学園に国有地を8億円以上値引きして売り払ったことだった。時の安倍晋三首相の妻・安倍昭恵さんが小学校の名誉校長を務めていたことから、国会で追及が始まった。土地取引に関する公文書の改ざんも発覚し、財務省は佐川宣寿元理財局長をはじめ改ざんに関与した職員を処分。しかし値引き自体は、会計検査院や検察の捜査で違法性が問われなかったとして幕引きを図り、今に至っている。
この状況を覆したのが、石破茂政権の下で今年4月に始まった一連の森友文書開示だ。これまでに約5万4000枚が公表され、新事実が続々と判明。「新たな事実がない」という答弁は客観的な事実に反する。その点を片山さつき財務大臣に11月7日の会見で質問すると、
「新たな事実とお感じになって報道されるものもあると思いますけれども、更なる対応が必要となるような新たな事実は確認されていない。そういう意味での判断です」
“更なる対応が必要な”新事実はないと、高市首相の答弁を補うように説明した。だが、開示で出てきたこの資料を前にしても、そう言い切れるだろうか?
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source : 週刊文春






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