すっかり夜の帳が下り、霜月の寒さが身に沁み始めた大阪市内。11月10日の午後8時、ネオン街を切り裂くように走ってきた1台のワンボックスカーが、新大阪駅の車寄せに滑り込む。だが、ハザードランプを焚いた車のドアは一向に開かない。フロントガラス越しには、運転席の男性が助手席に座る女性に身振り手振りで話している様子が窺える。表情を強張らせた女性は時折、肩を丸める仕草を見せていた。
この2人、女性は議員で男性は秘書。立場が逆転したかのような光景には、両者の歪な関係性が滲んでいた――。
続々と発覚する日本維新の会の“公金還流”問題。11月20日発売号の「週刊文春」が報じたのが、維新の会とデザインビレッジ社をめぐる疑惑だ。
「大阪市内に所在するデザインビレッジ社は、大阪維新の会に所属する藤田あきら大阪市議の実姉が設立時の2021年から昨年4月まで代表を務めていた会社。いわば、藤田市議のファミリー企業です。この会社に藤田文武共同代表の関連団体が、政党交付金を含む政治資金を支出していたのです」(維新関係者)
藤田共同代表側による支出は、約569万円。維新に所属する複数の国会議員の関連団体が同社に発注していることも判明し、その総額は少なくとも2200万円にのぼる。支出していた議員の一人が、同党の総務会長である高木かおり参院議員(53)だ。2023年に高木氏が代表と会計責任者を務める政党支部「日本維新の会参議院大阪府選挙区第3支部」からデザイン社に「デザイン・印刷代」として11万円を支出している。

高木氏とはどのような人物なのか。
「2011年、堺市議選に自民党の公認を得て出馬し、当選。市議を2期務めた後、2016年に自民党を離党すると、おおさか維新の会の公認候補として参院選大阪選挙区から出て当選した。維新の会のダイバーシティ推進局局長などを歴任し、今年8月に発足した新体制で同党における女性初の党三役に抜擢されました」
そんな高木氏に新たな政治とカネの疑惑が浮上した。収支報告書を紐解くと、「日本維新の会参議院大阪府選挙区第3支部」と資金管理団体「福保会」から「事務所家賃」や「駐車場代」の名目で、とある企業への多額の支出が確認できるのだ。それが、堺上グループホールディングス株式会社だ。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル
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