社会問題化する独身偽装。不倫と同一視されたり、既婚と見抜けなかったことを責められ泣き寝入りする被害者も多い。世間の理解も進まない中、裁判で貞操権侵害を認められた女性は断言する。「独身偽装は性犯罪と同じ」。

 

連載第1回:博報堂マンの「独身偽装」と「リモート会議性交」

「公にすると、そちらが困るんじゃないですか?」

 航空自衛隊千歳基地の管理職男性から投げかけられた言葉に、コハルさん(仮名、当時37)は愕然とするしかなかった。

 “独身偽装”。既婚者が独身を装い、交際相手を騙す行為だ。近年、性的な自己決定権(貞操権)を侵害したとして、損害賠償を命じられるケースが相次いでいる。

 コハルさんも独身偽装の被害者だ。2023年2月に相手を提訴し、同年末に弁護士費用を含む165万円の支払いを命じる判決を勝ち取った。連載第1回では、24年にXアカウント「独身偽装被害者の会」を立ち上げたマイコさん(仮名)のケースを取り上げたが、彼女が訴訟を提起する上で参考にしたのがコハルさんの裁判だった。コハルさんが語る。

「私が裁判を起こした当時はまだ被害者が集まるコミュニティはなく、被害者がそれぞれSNSでつぶやく程度。SNS上の“被害者界隈”で裁判を起こしたのは私が初めてのようでした。『被害者の会』のアカウントが登場したのも見ており、訴えたい人のために判決を共有するなどして協力するようになりました」

 コハルさんは北海道在住の会社員。本上まなみ似で栗色の瞳が印象的だ。加害者の男とは仕事を介して知り合った。男の職業は、自衛官だった。

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source : 週刊文春 2026年2月26日号