(前回の続き)

 セイレーンは、船が通ると近付き“水夫さん、わたしが好きならこちらに来て抱きなさい”といっては媚態を示す。若い水夫は堪らず海に飛び込んで、その結果、セイレーンの餌食にされてしまうのだ――。

 僕はしばし、(なか)(ぐすく)モール裏手の海上でウッフ〜ン♥ポーズを決め横たわる白い人魚像に思いを馳せた。そんなに遠くはない。きっと引き潮になれば君はビーチの上。人体、いや人魚体デッサンの狂いは少しあるけどその艶かしい肢体を間近に拝めるはずだ。でも僕にはそんな悠長な時間はない。

 “そんなこと言わずに今すぐ海に飛び込んでわたしを抱きなさいよ”

 おいおい、冗談はやめてくれよ。こちとら若い水夫じゃないんだから。ところで聞くが、もう一体の人魚像はどこにいる?

初回登録は初月300円で
すべての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

  • 3年プラン

    59,400円一括払い、3年更新

    1,650円/月

週刊文春 PREMIUMMEMBERSHIP 限定特典あり 詳しくはこちら

有料会員になると…

スクープを毎日配信!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2026年5月28日号