これまでほとんどの大学では音楽や哲学や歴史や文学が教えられてきた。学生は、そういう「教養科目」の基礎の上に、中世日本文学や近代政治史など様々専門的なことを学ぶ。

 それでも専門家になる者は一部だけだ。ほとんどは会社に就職してから法務や営業や会計の技術を経験的に身につける。

 大学で学んだことは仕事の役に立たないから、最近ではどの大学も教養科目を減らし、より実践的な教育を増やす方向に舵を切りつつある。

 だが教養科目は無用なのだろうか。実利的社会になればなるほど、教養を身につける機会が必要になるのではないのか。人生で音楽や文学の真髄に触れる時期が一度もなくていいのか。

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source : 週刊文春 2026年7月2日号