第18回 東京オリンピック開会式はなぜ呪われてしまったのか

2021年7月23日配信分

「週刊文春」編集長

 東京オリンピックの開会式を巡るゴタゴタが続いています。今年3月、小誌の報道で、開会式の演出を仕切る「総合統括」だった佐々木宏氏が、タレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するプランを提案していたことが明るみに出て、辞任しました。今月19日には開会式の作曲担当者の1人だったミュージシャン・小山田圭吾氏が、障がいのある同級生へのいじめを自慢していた雑誌インタビューで批判を浴び辞任。そして、開会式と閉会式のショーディレクターを務める小林賢太郎氏が、ユダヤ人虐殺をやゆするセリフを使用していたとして、解任されました。

 ロンドン五輪では9億人もの人が観たと言われる開会式は、そのオリンピックを象徴するものです。なぜ、それが世界に恥をさらすことになってしまったのか。

 すべては、昨年5月に、それまでの責任者だった演出振付家のMIKIKO氏を外して、電通代表取締役が推す佐々木氏に交代したことから始まりました。コロナによる1年延期を奇貨とするかのように行われた交代劇。佐々木氏が連れてきたのが小林氏であり、その人脈の中から小山田氏が作曲担当に就きました。その経緯は、今週号で書いていますが、MIKIKO氏が外されなければ、今回の3人の退任はそもそもありませんでした。

〈去年の6月に執行責任を任命され、全ての責任を負う覚悟でやってきました。どんな理不尽なことがあっても、言い訳をしないでやってきました。/それを一番近くで見てきたみなさんはどのような気持ちでこの進め方をされているのでしょうか?/コロナで世界がこの様な状況になって、やっぱり一番大切にしないといけないのは信頼関係だと信じて止みません。

 本当は、このままフェードアウトするのが平和なやり方なのかな?とも悩みました。/でも、またこのやり方を繰り返していることの怖さを私は訴えていかないと本当に日本は終わってしまうと思い、書きました〉

 昨年10月、MIKIKO氏が関係者に送ったメールです。残念ながら、「日本は終わってしまう」の予言が的中しているかのようです。この“敗北“は「不運」などではなく「必然」でした。組織委員会が、開会式にふさわしい演出をできるのは誰か、という観点ではなく、自分たちや電通の言うことを聞く人物を優先して選んだ結果だったのです。

 既報の通り、小誌は、MIKIKO氏の演出の全貌を知っています。そして、今日の夜、行われる開会式の内容も把握しています。渡辺直美さんが「鳥肌もの」と語っていましたが、一国民として、MIKIKO氏の案だったら、と思わずにいられないほど、大きな差があります。

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source : 週刊文春

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