95歳を過ぎた頃に、母はよく口にしていた。
「もう、そろそろかねえー」
するとそれが夏頃だったりすると、娘の私よりも深い絆で結ばれていた従姉が答える。
「叔母ちゃん、暑いのは嫌だよー」
冬が近づく頃、母が言う。
「もう、そろそろかねー」
また従姉が言う。
「叔母ちゃん、寒いのは嫌だからね」
何を言いたいかというと、葬式を出す時に暑かったり寒かったりするのはご免だということである。従姉と何度もこの問答を繰り返した結果、母が亡くなったのは6月中旬である。
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source : 週刊文春 2026年8月27日号






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