「うわぁ、すごい仕事だぜ」
モニタリングしているオードリーとまったく同じことを思わず何度もつぶやいてしまうのが『100カメ』(NHK)だ。週刊少年ジャンプ編集部やフジロック、シェアハウスなど様々な場所に100台の固定カメラを数日間設置し、そこでの人間模様を描くドキュメンタリーだが、やはりこの番組が最も魅力を発揮するのが仕事現場。特に東京メトロや羽田空港などの交通機関を取り上げた回は出色だ。スケールが大きく、様々な部署が連携して分単位、時には秒単位でダイヤを守るために奮闘している姿が見られるからだ。そして今回カメラを設置したのが、「東海道新幹線」。もう期待しかない。するといきなり凄技を見せてくれた。新幹線は乗客の人数によって重さが変わるため、ブレーキの利き具合も変化する。そのため最初の停車駅である品川駅で、それを確認するらしい。「へえ」と唸っていると、「40秒延発」。「延発」とは発車遅れのことだが、こういう専門用語も嬉しい。この遅れを取り戻すため、運転士は距離÷時間の計算を、なんと暗算でするのだそう。算数大事。

もちろんカメラは車内だけではなく、架線工事や線路整備の現場、車両基地、そして駅だけでも、ホーム、改札、切符売り場などあらゆる場所に設置。その膨大な映像をチェックするだけでもゾッとする作業だが、わずか45分の番組に編集するのだから、こちらのスタッフにも「すごい仕事だぜ」と言いたくなる。
中でも印象的だったのが、接客技術の社内コンテストで優勝したという女性駅員。最も乗客が多く通過し混雑が起きやすい「中央のりかえ入口」で押し寄せる人々を迅速に案内していくのが仕事。1組あたりの平均対応時間はわずか6秒。瞬時に状況を見極め、外国語も交えながら、最小限の言葉数でテキパキと捌いていく。先輩から「すごい助かる」と褒められても、「ありがとうございまーす」と同じトーンであっさり返すのが面白い。大混雑の中、客から「自由席だったら切符買わなくても乗れます?」という、あり得なすぎて一瞬質疑の意味が理解できなくなりそうな質問が来ても「いいえ、買わなければ乗れません」と毅然として即答。惚れ惚れしてしまう。それでいて、一瞬客が途切れると「ダメだ、丁寧な案内は無理だ。キツい言い方をしてしまっている。こんなに性格悪くなかったのに」と反省。かと思えば、すぐに次の対応に戻る。ファンになってしまいそう。が、そういう人が詰めかけて余計に忙しくなってしまわないか勝手に心配してしまった。
見終わると自然と「仕事」について考え、どこか誇らしく思ったり、自省したりせずにはいられない。そしてもう一度つぶやく。
「すごい仕事だぜ」
『100カメ』
NHK総合 不定期放送
https://www.web.nhk/tv/an/100cam/pl/series-tep-QP8MPNM1GL
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source : 週刊文春 2026年9月3日号






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