引っ越しを機に大掃除をしていると思いがけない掘り出し物がある。貰った甲子園の土、自作の絵本、ダイコクコガネの標本。その中に大学生の頃の成績表を見つけた。学生の頃は暇を持て余し、卒業に必須な取得単位数を大幅に上回る優等生だった。成績順に優、良、可、不可がある中で成績表には「優」が並ぶ。その中にぽつんと1つ「可」を見つけた。「土壌学」の欄だった。見てはならぬものを見てしまった。
メディアに露出し、「土壌学者」と呼ばれるようになって久しい。土壌学の優等生が土壌学者になったと記憶は美化されていたが、実際は土バカではなく、ただのバカだった。言い訳が許されるならば、私自身は1度も土壌学者を名乗ったことがない。私の肩書きは「土の研究者」だ。ここには、世間からの期待と私のありたい姿の間の埋めがたいギャップがある。
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source : 週刊文春 2026年9月10日号
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