「後追い自殺を考えた」。岩下志麻さんは自著で、夫で映画監督の篠田正浩さん(25年逝去)の喪失をそう綴る。運命の出会い、22本の共作、10年間の“姐さん”生活…夫婦で歩んだ58年間は愛と笑いに満ち溢れていました。
(いわしたしま 1941年生まれ。17歳で芸能界デビュー。成城大学入学と同時に松竹に入社し、看板女優として活躍。1967年に篠田正浩監督と結婚。夫婦で独立プロ「表現社」を設立し、『心中天網島』『卑弥呼』『はなれ瞽女おりん』など数々の名作が生まれた。ほかにも映画『極道の妻たち』シリーズ、NHK大河ドラマ『草燃える』『独眼竜政宗』など代表作多数。)

対談前にツーショット撮影に臨む2人。アガワが岩下さんの著書『同志として 妻として 「運命の人」篠田正浩と歩いた道』(講談社)を手に取ると――。
岩下 「裏に秘密があるんですよ」
阿川 「裏?」
岩下 「帯をとってみて」
裏表紙は一見すると、サングラス姿で口元に微笑みを湛えた篠田さん。帯をとると、篠田さんの膝に頭を乗せた岩下さんが姿を現し、カメラのファインダーを覗いている。
阿川 「気がつかなかった! かわいい〜!」
岩下 「私も今回初めて見た写真なの」
阿川 「これも撮ってもらいましょう」
かくして著書の表表紙(阿川)と裏表紙(岩下)を、それぞれカメラに向けて撮影は行われた。
◇
阿川 昨年3月に夫の篠田正浩さんがお亡くなりになって。改めてお悔やみ申し上げます。
岩下 ありがとうございます。
阿川 お亡くなりになる5年ほど前からパーキンソン病を患っていらっしゃったと伺いました。
岩下 薬が効いて重症化しなかったんです。90歳を越えても杖を使わずに歩いていたくらいですから。
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source : 週刊文春 2026年9月10日号
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