20年余りの鬱屈した感情が、激しい慟哭となって室内の静寂を打ち破った。
「種雄がなんで殺されなきゃいけないの!」
遺族らの刺すような視線を浴びると、大柄な男性は背を丸めた。
「(犯人を)連れて来い!私が殺してやるよ!」
そう叫んだ老母が男性に殴りかかろうとした瞬間、俯いていた父が彼女を抱き寄せ、「落ち着けっ」と制止した。5分以上続いた哀哭の叫び。激しく肩で息をする母は、力なく呟いた。
「誰が殺したの? 正直に言って……」
「週刊文春」は4号続けて、木原誠二元官房副長官の妻・Ⅹ子さんの元夫である安田種雄さん(享年28)が怪死した事件を報じてきた。

重要参考人Y氏は、事件のあった2006年4月9日夜、親密な間柄だったX子さんから電話を受けて自宅に向かったと証言。種雄さんの遺体を見つけると、凶器となったナイフの柄に巻かれた両面テープを持ち去るなど、証拠隠滅を行ったと明かし、こう語った。
「今でも悔やむのは、『すぐに救急車を呼べ』と言わなかったことです。彼女を守ろうとするあまり、その言葉が出てこなかった……」
当時、種雄さんは自殺とされたが、警察は18年4月に再捜査を始めた。すでに木原氏と再婚していたⅩ子さんも取り調べを受けたが、関与を否定し、10月下旬に聴取は幕を閉じた。
事件後にX子さんから受け取った80通を超える手紙など、事件に関する物的証拠も「週刊文春」に提供したY氏。真相解明に向けて力を尽くす一方で、やらなければならないことが残っていた。遺族との面会である。
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source : 週刊文春 2026年9月17日号
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