Q

 娘は孫が保育園で作った工作や絵を、「写真に撮ってデータで残すから」と、現物はすぐに捨ててしまいます。「取っておいても場所をとるだけだから」と言う娘の合理性に驚くばかりです。私はいまだに娘のへその緒や子供服を大事にしまっているのに。モノに宿る思い出まであっさり捨てられてしまうようで、横で見ていて胸が痛みます。

(59歳、女性)

 先に言っておくとね、ぼくはあなたの味方なの。というのも、ぼくもいろんなものが捨てられなくてさ。「写真に撮ってあるからいい」とは、なかなか思えないタイプだから。

 だけど、こういうときに大事なのは、相手が自分と違う考え方だからといって腹を立てるところから始めちゃいけないってこと。娘さんが「データがあればいい」と言うのは、彼女が生きてきた“時代の考え方”。そこで「私の時代はもっとモノを大切にしたのに」と言い出すと話が真っ二つに割れてしまう。だから、まずは娘さんの側から物事を見て、「それもありかも」と頷いてみる。そのうえで自分の大切な思いを足していく。ぼくはそれがいいと思うんだ。

 では、あなたが本当に大切にしたいのは何か。それは「モノ」じゃなくて、「言葉」なんじゃないだろうか。だとすれば、あなたが娘さんに言うべきなのは、「それは、あんたにとって何だったの?」という質問だ。

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source : 週刊文春 2026年9月24日・10月1日号