経営再建を進めたカリスマ社長が4発の凶弾に斃れたテロから13年。警察は「組織的犯行」として長年捜査を続けるが、首謀者は明らかになっていない。実行犯として逮捕された男が記者の取材に初めて沈黙を破った――。
にしおかけんすけ/1967年生。神戸新聞、週刊文春の記者などを経て、現在はフリーランスのノンフィクションライター。『マングローブ―テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』(講談社)で2008年、第30回講談社ノンフィクション賞を受賞。近著に『トラジャ JR「革マル」30年の呪縛、労組の終焉』(東洋経済新報社)。
〈私は一命を賭して任侠道に邁進すると心に決めた以上、その決心には一片の曇りも持たぬよう努力しております。ですから、自分が無期だろうが死刑だろうが、秘事、暗部を……〉
今年7月、「週刊文春」編集部に手紙が届いた。差出人の住所は「京都市伏見区竹田向代町138」。京都拘置所からであった。
◇
「餃子の王将」を全国展開する日本屈指の中華料理チェーン「王将フードサービス」(以下、王将)の社長だった大東隆行氏(当時72)が射殺された企業テロ事件から13年――。
「裁判長、陪席裁判官、謹んで申し上げます。私は本当に犯人ではありません。私は犯人じゃなかとばい!」
2026年6月29日、厳重な警戒体制が敷かれた中で、約90の傍聴席が埋まった京都地裁の大法廷に、取り調べ段階では黙秘を貫いていた男の甲高い声が響いた。
この日は、殺害の「実行犯」とされる、日本で唯一の特定危険指定暴力団「工藤会」傘下の「石田組」本部長、田中幸雄被告(59)に対する論告求刑公判が開かれていた。
その公判で検察側が「無期懲役」を求刑した一方、田中被告は初公判から一貫して無罪を主張。判決は10月16日に言い渡される予定だ。

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source : 週刊文春 2026年10月22日号
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