金融分野の安全保障体制を強化するため、「経済安全保障室」を新設する検討を始めた金融庁。中でも重要視しているのが、マネーロンダリング(資金洗浄)対策だ。
「各国のマネロン対策を調査する国際組織FATFが一昨年から、日本に対する第4次審査に入っていました。8月30日、08年の第3次審査に続き、金融庁の対策は『不合格』だと発表した。今後5年間で3回程度、改善状況をFATFに報告する必要があります」(金融庁幹部)
焦眉の急となったマネロン対策。実はFATFの審査報告に先立ち、金融庁は5月末までに全金融機関に対し、銀行法24条に基づき、マネロン対策に関する調査を実施している。
筆者は今回、44項目に及ぶ質問が記された調査票を入手した。例えば、21番目の質問は〈マネロン・テロ資金供与に関連する部署別監査(略)それらのうち法令・ガイドライン・社内手続きの重大な違反を契機として行った内部監査の件数とその概要〉、24番目の質問は〈直近1年間におけるマネロン・テロ資金供与リスク管理に関する人材面における研修以外の取組みの有無〉を尋ねるもの。いずれも、詳細な回答を要求している。
中には、〈直近10件の疑わしい取引の届出における、検知から検証を始めるまでに要した日数、検証を始めてから疑わしい取引に該当すると判断するまでに要した日数〉などを確認する項目もあった。注欄には〈検知日と同日に検証を始めた場合は「0」とすること〉という具合に、日数の算出方法も細かく記されている。
地銀幹部が明かす。
「マネロンは一般的に北朝鮮が絡むケースが目立ちますが、〈イラン・北朝鮮以外の高リスク国についての貴社独自の定義及び当該高リスク国に対する取引が発生した場合の対応方針の有無〉を問う項目もありました。重要なテーマとはいえ、これほど細かな調査は前代未聞です。FATFからの指摘に、それほど金融庁は危機感を覚えているのでしょう」
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source : 週刊文春 2021年9月9日号