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ワクチン接種した人が知るべき7つのこと 会食、飲酒はどこまでOK?孫と会っていい?

「週刊文春」編集部
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重症化を防ぐ効果は長持ちする
重症化を防ぐ効果は長持ちする

 8月下旬以降、減少傾向にあるコロナの新規感染者。国民の約半数、高齢者の約9割がワクチン接種を終え、政府は10月以降の行動制限を見直す方針だ。

 接種をすませた人、とりわけ高齢者が「感染予防」と「健康的な生活」を両立するために知っておくべきことは何だろうか。

 まずは気になるブレークスルー感染。米国疾病管理センター(CDC)の分析では、ワクチン接種を完了した人で、新型コロナにより入院または死亡したのは1万2908例(8月30日時点)だった。米国では1億7300万人が接種を完了している。

 つまり、(1)ブレークスルー感染による入院・死亡の確率は1万3000分の1未満。未接種者に比べ、入院の確率は17分の1に下がる。ワクチン接種の効果は確実といえるだろう。

 だが、ブレークスルー感染で入院した人の約70%、死亡した人の約87%が高齢者だったことには注意が必要だ。長崎大学医学部の森内浩幸教授が指摘する。

「ひとつは、もともと高齢者は抗体が若者より少ないこと。そして、高齢者は接種時期が早かったので、ワクチンによって作られた抗体の量が少なくなっていることも考えられます」

 英国の調査によると、ファイザー製は接種2回目から1カ月後に88%だった感染予防効果が、5~6カ月後には74%まで低下していた。つまり、半年ほどで抗体は減ってゆくのだ。

 日本の高齢者は4月頃から接種が始まっている。ということはそろそろあぶないのか。ブースター接種を急がなければ、元に戻ってしまうのか……? 必ずしもそうとは言い切れない。(2)感染予防効果は低下しても、重症化を防ぐ効果は十分にあるからだ。

「ブレークスルー重症者」の特徴

 東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授によれば、免疫には3種類ある。人がもともと持っている自然免疫。そしてワクチンによって獲得できる液性免疫と細胞性免疫だ。液性免疫は、抗体がウイルスの侵入をブロックして感染を防ぐ役目を果たす。細胞性免疫は、リンパ球が感染した細胞ごとウイルスを破壊する機能。ワクチン接種によって上がった抗体価が落ちてゆくのは、液性免疫の効果が下がるからだ。

「一方、細胞性免疫は、数年持つと言われています。つまり、発病や重症化を防ぐ効果は持続しているのです」(児玉教授)

 もちろん基礎疾患を持つ人は引き続き注意が必要。CDCの調査では、(3)入院したブレークスルー感染者のうち、基礎疾患を3つ以上持つ人が約71%もいた。具体的には糖尿病や心臓病、自己免疫疾患などだ。

 公立陶生病院感染症内科主任部長を務める武藤義和医師が語る。

「高齢化すると肺や心臓などの臓器に加え、体の至るところの力が衰えてきますし、免疫力も同じように低下します。それだけでコロナを含め様々な病気の一因となる。これが基礎疾患を持つリスクです」

 医療ジャーナリストの森田豊医師は、基礎疾患の中でも、(4)血圧のコントロールが重要だと説く。

「これからの秋から冬にかけては、ヒートショックが多くなる季節です。また、コロナ感染症によって血栓症が生じやすくなるというリスクも指摘されています。高血圧やコレステロールの持病がある人は、これまで以上に数値の管理を徹底するべきでしょう」

これまで以上に血圧に留意を
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 そもそも長い自粛生活で、運動不足や食生活の乱れなど、血圧上昇の要因は揃っている。これらは糖尿病や高脂血症など、他の生活習慣病の原因にもなり得る。

 血圧対策として、身近なのがお茶だ。お茶に含まれるカテキンは、血圧上昇の抑制に効果がある。血管の炎症修復や抗酸化ストレスなど、様々な作用が働くからだ。

 また研究によって、茶カテキン類に、新型コロナウイルスの細胞への感染能力を低下させる効果があることが確認されたという。京都府立医科大学大学院医学研究科の松田修教授が語る。

「緑茶、紅茶、ほうじ茶、ウーロン茶で研究しました。試験管内の結果ですが、いずれも効果が出ています。お茶を入れる温度が高い方が、カテキンの抽出濃度は高くなり、不活化効果も大きくなると思われます」

 無論、お茶を飲めばコロナに感染しない、といった単純な話ではないだろうが、血圧上昇の抑制と併せ、積極的に飲んでみるのもいいだろう。

 気温が下がってくるこれからの季節、(5)ワクチン接種後の高齢者が発熱した場合、どうすればよいか。池袋大谷クリニックの大谷義夫院長がアドバイスする。

「熱や咳が出ている人は、ためらわず発熱外来の受診をご検討ください。医師だって、自分がその状態なら、検査しないとコロナか風邪か、あるいはインフルエンザなのかは分かりません。家でじっとしているのが一番のリスクです」

 昨年は流行しなかったからといって、今年もインフルエンザが流行しないとは限らない。2018年のインフルエンザによる死者は約3300人。コロナだけでなくインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなどの接種もしておきたい。

 しかし、予防や自粛ばかりでは息が詰まる。1年半以上、離れて暮らす子や孫と会っていない人も多い。(6)ワクチンも打ったし、久しぶりに孫の顔を見たい、と思ったら会っていいのか。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子氏は、こう提案する。

 

最初に「時間」を決めよう

「まずは緊急事態宣言が明けることが前提。子や孫の側が首都圏から帰省する場合、実家へ宿泊せず、近くのホテルに泊まって会うのはいかがでしょうか。長時間、同じ場所にいれば、自ずと感染リスクが上がります。親の側はワクチン接種はしていても、感染している可能性は残っており、未接種の子や孫に感染させるリスクがあります。マスクを着用し、短い時間で、という形がいいかと思います」

 (7)ワクチン接種をすませた者同士の会食はどうか。友人とのカラオケを我慢している人もいるはずだ。愛知県立大学看護学部の清水宣明教授はこう話す。

「カラオケのお店はいろいろなタイプがありますが、昼間に高齢者が集まる、カラオケ喫茶的なお店は小規模なので注意が必要です」

 歌うことで、のどから出る微細な粒子は、エアロゾル感染の温床になる。カラオケは今はまだ控えるのがベスト。どうしても歌いたいのであれば、2メートル以上の距離を取って、換気の行き届いたお店を選ぶべきだが、カラオケの性質上、なかなか簡単ではない。

 会食は、窓が2カ所以上開いていて、空気の通り道がある店が望ましい。厚労省は1時間に2回の換気を推奨している。

 

「特に変異株は漂うウイルス量が多いので、より強いエアロゾル感染対策が必要になります」(同前)

 人数は、政府も推奨する「4人以下」の集まりがいい。お酒を飲み過ぎると、ついつい長時間の滞在や大声で話してしまいがちだが、たとえば「2時間」とあらかじめはっきり時間を決め、どんなに盛り上がってもそれで切り上げる“鉄の意志”が必要だ。

 

 ワクチンを打ちたくとも打てない世代もまだ多い。これまで通りの感染対策を心がけながら、ゆっくりと日常に戻ってゆくことこそ、コロナ対策の要である。

source : 週刊文春 2021年9月23日号

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