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コロナ大量感染 競輪現役選手がザル対策、過少発表を告発

「週刊文春」編集部
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「久留米競輪でレースに参加した選手77名のうち、35名がコロナに感染してしまいました。最大の原因はJKAの感染対策が“ザル”だからです」

 こう憤るのは、現役のA選手だ。

 9月3~5日に開催された久留米競輪でコロナ感染者が続々と発生した。

 

「ただ競輪を統括する公益財団法人JKAは、9日からの久留米競輪でのレースを強行しました。結果、初日の6R終了後に関係者の感染が発覚し、開催が打ち切られる事態となったのです」(スポーツ紙デスク)

 競輪界は1月、和歌山競輪で31名の感染者を出した。集団感染再発の理由をA選手は「久留米競輪場の対策が緩すぎた」と語る。

「控室には50~60名の選手が集まりますが、換気が十分ではなかった。また、息が上がったレース直後は、呼吸を整えるためのブレスコントロールゾーンで5分ほど過ごすのですが、窓が閉じられた室内でした。他の会場は屋外で扇風機も回っていたのに……」(同前)

 選手が寝泊まりする宿舎にも問題があったという。

「『虫が入ってくるから』という理由で窓を閉め切っていた。部屋も個室ではなく、2人部屋でした」(同前)

 愛知県立大学看護学部の清水宣明教授はこう驚く。

「空気感染を防ぐには、何より換気を十分にすることが大事です。久留米競輪場やその宿舎は、1人感染者が発生すれば、あっという間に広がりやすい状況だったと言えるでしょう」

 選手にはPCR検査の義務があるが、そこにも落とし穴がある。B選手が語る。

「検体の採取期間は開催日の5、6日前。そのためレースまでの間に感染している可能性がある。久留米の後、レース直前の抗原検査が導入されました」

 A選手も感染者の一人だ。

「同部屋の選手が感染し、濃厚接触者となり、検査したら陽性に。私は軽症のためホテル療養でしたが、熱が40度近く出たり、家族も感染した選手もいました」

 さらに問題なのが、感染者の“過少発表”だ。

「JKAから届いたメールでは9月6日から13日にかけて久留米競輪だけで35名の感染者が出ているとの記載がありました。しかし公式HPでは、同期間、競輪選手全体で29名しか感染者が発表されていないのです」(前出・B選手)

選手には次々と感染情報が送られてきた

 また選手会からのメールでは、8月23日から25日に行われた函館競輪で、21名もの選手の感染が報告されているが、公式発表はされていない。

 JKAは何と答えるか。久留米の感染者が35名であることは認めた上で、概ね次のように回答した。

「感染が正式に確認されたものについては順次正式に発表しているため、発表されている感染者数が少ないというご指摘には当たらない。(感染対策については)専門家の指摘を踏まえ、改善対策を講じてまいります」

 だが小誌が「過少発表」を指摘した数時間後、公式HPに妙な動きが。9月10日付で「競輪選手の新型コロナウイルス感染者発生について」というリリースが突然、追加されたのだ。そこには、公表していなかった9月7~9日に感染が確認された選手の人数が――。

直撃後、過去の日付で追加されたリリース(公式HPより)

 A選手が嘆息して言う。

「JKAは多くの感染者が出て、開催が中止になるのを避けたいのでしょう。それならもっと感染対策を徹底して欲しい。選手は生活のため、競輪場に行くしかないのですから」

 リリースをこっそり増やす前にやるべきことがある。

source : 週刊文春 2021年9月30日号

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