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岸田文雄 “東大落ちた”が挫折自慢「安倍に嫌われる」で“逃げ恥”常習

「次の総理」ここが危ない!

「週刊文春」編集部

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「総裁任期中に憲法改正」

「財政出動はしっかりやる」

「森友の再調査はしない」

 まるで前首相のような言葉で訴えるのは、岸田文雄前政調会長(64)。党内ハト派で、財政再建も掲げてきた宏池会の理念はどこへ……。

 岸田氏は祖父も父も衆院議員という政界サラブレッドだ。安倍氏と同じく、93年に初当選。07年、第1次安倍政権で初入閣した。

開成高、早大法学部出身

「12年、第2次安倍政権で外相に就任します。ただ、安倍氏とトランプ米大統領らとの個人的関係を生かす首脳外交が目立ち、岸田氏の存在感は希薄だった。ラブロフ露外相にウォッカの飲み比べで勝ったことが数少ない“実績”と揶揄されるほどです。それでも、安倍氏は失点の少ない岸田氏を後継に考えるようになっていきました。自身に忠実な岸田氏なら、院政を敷きやすいとの思惑もあったはずです」(政治部デスク)

 17年8月には岸田氏の希望通り、党三役の政調会長に就任。しかし、ここから岸田氏の“逃げ恥”人生が加速していくのだ。

 宏池会の若手から出馬が期待されたのは、18年9月の総裁選。自身も一時は出馬の構えを見せたが、

「安倍氏から『出馬したら処遇できない』と揺さぶりをかけられました。岸田氏は『出ても出なくても、沈むことは覚悟しないと。でも、出馬したら派閥は干される』と漏らし、出馬を見送った。頭に過ったのは、森政権打倒に動いた“加藤の乱”。岸田氏も加わりましたが、乱の鎮圧後、当時の加藤派は分裂していった。結局、岸田氏は、安倍氏の任期が満了する3年後の『禅譲』に期待する道を選んだのです」(宏池会関係者)

「安倍に嫌われる」のを避け、総裁選から逃げた岸田氏。その戦略は正しかったのか、安倍氏の“意中の候補”ではあり続けてきた。

「そんな風に書くのか」

 ところが――。

 初の緊急事態宣言が発令された昨年4月。岸田氏の提案を受ける形で閣議決定したのが、減収世帯への30万円の給付案だった。

給付金30万円案を安倍氏に提案したが……

「実際には、安倍氏が知名度の低い岸田氏に花をもたせた形です。しかし、全国民への一律10万円給付を主張する公明党の反発に遭い、二階俊博幹事長も加勢した。30万円案はひっくり返され、補正予算組み直しという前代未聞の事態となったのです。もともと岸田氏も一律給付を主張していたものの、それを押し殺して安倍氏に従った。ところが、安倍氏からも『指導力がない』と烙印を押されてしまったのです」(安倍氏周辺)

 安倍氏にすり寄ったばかりに、ポスト安倍レースから後退していく。宏池会の前会長、古賀誠元幹事長もBSフジの報道番組で「『ツクシの坊や』でポキッと折れたら何もない」と述べるなど、そのひ弱さが岸田氏の弱点と見なされてきた。

 ただ、当の岸田氏は当時、こう反論している。

〈私は決して線の細いエリートではありません。母校の開成高校は東大に進む生徒が多い中、私は東大受験に3回失敗するなど悔しい思いもしました。結局、早稲田と慶應の両方に受かりましたが〉(「文藝春秋」昨年10月号)

 実はこのエピソード、折に触れ、岸田氏が語っている“挫折自慢”だ。

「岸田氏の父は東大から通産省、叔父も東大から大蔵省、叔母の夫の兄・宮沢喜一元首相も東大から大蔵省、従弟の宮沢洋一元経産相も東大から大蔵省……一族は『東大から官僚』だらけです。岸田氏にとっては、東大に落ちたことが最大の挫折かもしれませんが、逆に庶民とかけ離れた“エリート意識”が如実になりました」(宏池会担当記者)

 だが、岸田氏が縋り続けた安倍氏は昨年8月末、体調悪化を理由に首相辞任を表明。事実上、後継に指名したのは、岸田氏ではなく、叩き上げの菅氏だった。

「それでも、岸田氏は安倍氏へのすり寄りを諦めませんでした」(前出・デスク)

 今年3月、「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」が発足した時のことだ。岸田氏は若手議員らから依頼を受け、議連の呼びかけ人に就任。だが、同時期に夫婦別姓反対派の議連も発足予定だった。記者から「賛成派の旗頭と受け止められますよ。(反対派の)安倍さんの意向は確認されましたか?」と問われた岸田氏。慌てた様子で、

「そりゃまずい。そんなこと聞いてないぞ。そんな風に書くのか」

 と、応じたという。

「記者から『ドタキャンしたらどうですか』と冗談交じりの進言を受けた岸田氏は、本当に地元日程を理由に、設立総会を欠席したのです」(前出・デスク)

菅首相の岸田評

 安倍氏の顔色を窺っては、右往左往を重ねる。小誌先々週号の取材には「今井(尚哉前首相補佐官)さんとは電話でやり取りしている」と語るなど、安倍氏とのパイプを強調した岸田氏。今回の総裁選でも森友問題の再調査に言及したかと思えば、安倍氏の懸念が伝えられると、冒頭のように再調査を否定したのだった。

 そんな岸田氏のことを、

「絶対に総理にしてはいけない男だ」

 と漏らす人物がいる。他ならぬ菅首相だ。

菅首相との関係は?

「首相もかつて宏池会に所属していましたが、当時からソリが合いません。19年9月の人事では安倍首相が岸田氏を幹事長に据えようとしたことがありましたが、菅氏はこの時、安倍氏に『岸田では党内を押さえられない』と直談判しています」(首相周辺)

 世論調査で岸田氏の支持率が1%台だった時は、

「1%って、そりゃショックだよね。もう終わりだ」

 と口にしていたほどだ。

「仕事師を自任する首相は『決められない政治家』が大嫌い。国益を考えた時、本気で岸田氏を首相にしてはいけないと考えているのです」(官邸関係者)

 岸田氏の回答。

「議連については、たまたま地元の日程と重なり、以前より欠席とお返しさせて頂いております。(首相の厳しい評価は)私が何か見解を述べることは適切ではないため、回答は控えます」

 総理を目指す意気や良しだが、大事なのは、総理になって何をやるか、である。

source : 週刊文春 2021年9月30日号

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