「さよならメルケル」|池上彰

池上彰のそこからですか!? 第496回

池上 彰
ニュース 社会 政治 国際

 16年にわたりドイツの首相の座にあったアンゲラ・メルケルが引退します。9月26日に実施された総選挙に立候補しなかったのです。首相を退いても議員を続けて党内に影響力を保持している人たちがいるどこかの国とは大違いです。

 メルケル首相の後任が誰になるか。選挙の結果はメルケルの与党で中道右派の「キリスト教民主・社会同盟」(CDU・CSU)が得票率で2位に落ち、代わって中道左派の「社会民主党」(SPD)が1位に躍り出ました。

 とはいえ、どちらも単独では過半数に達しないため、連立を組まなければなりません。連立相手は、3位の「緑の党」と4位の「自由民主党」です。どちらの党と組むかで、「信号連立」になるか、あるいは「ジャマイカ連立」になるかと言われています。これは各政党のシンボルカラーから来ています。

 緑の党のシンボルカラーは、もちろん緑。自由民主党のシンボルカラーは黄色です。一方、社会民主党のシンボルカラーは赤、キリスト教民主・社会同盟は黒です。そこで社会民主党・緑の党・自由民主党の3党連立なら、赤・緑・黄色で、まるで交通信号のよう。

 一方、キリスト教民主・社会同盟が緑の党、自由民主党と組めば、黒・緑・黄色で、ジャマイカの国旗の配色と同じになるというわけです。

 緑の党は環境を重視しますが、自由民主党は産業界寄り。原発政策や温暖化対策で政策を合わせるのは大変。連立交渉は長引きそうです。連立交渉がまとまり、議会で新しい首相が選ばれるまでは、メルケルが引き続き首相を務めます。

 もちろん、これ以外に社会民主党とキリスト教民主・社会同盟の2つの大政党が連立を組むという、いわゆる大連立の可能性もあります。この連立なら、さしずめ「スタンダール連立」でしょうか。スタンダールの代表作は『赤と黒』ですからね。まあ、こんなことを言っているのは私だけですが。

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source : 週刊文春 2021年10月14日号

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