1960年、当時の岸信介内閣が推進した安保条約改定をめぐり、政界は大混乱。国会に警官隊が導入され、改定反対を主張する野党議員を排除する騒ぎになりました。国会議事堂の周りには「安保反対」のデモが渦巻きました。
安保改定を実現すると、岸内閣は退陣。代わって総理に就任したのが池田勇人です。岸内閣で日本国内は政治的に分断が進みましたが、池田内閣は「所得倍増計画」を掲げて国民の融和を目指しました。これを契機に、日本は「政治の季節」から「経済の季節」へと転換しました。
その池田勇人の後援会としてスタートしたのが宏池会。その後、自民党内で大きな勢力を持つ派閥の名前になりました。
現在から見ると、岸はタカ派、池田はハト派のイメージがあります。ところが池田は岸内閣で通産大臣(現在の経産相)を務め、評判の悪かった岸内閣を支えていたのです。自分とは考え方が異なるけれど、岸内閣を支えれば、次は自分が総理大臣になれると計算していたと言われます。岸の後継争いでは、自民党の重鎮だった大野伴睦も有力でしたが、結局、岸は自分を支えてくれた池田を後継総理に選びます。
こうして総理になった池田ですが、岸の支援で総理になったというイメージがついて回り、“岸亜流”という批判も受けました。
ところが、「寛容と忍耐」をキャッチフレーズに、「皆さんの所得を10年で倍増させます」と訴え、ブームになります。
7月に総理に就任した池田は11月に解散総選挙に踏み切ります。慌てたのが当時の野党第1党の社会党です。格差の是正・貧困対策を訴えていたのに、池田の「所得倍増計画」で影が薄くなったからです。結果、選挙は自民党が圧勝しました。
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source : 週刊文春 2021年10月28日号