ハロウィーンが投票日になった衆議院議員総選挙も佳境です。衆議院議員総選挙は「小選挙区比例代表並立制」です。この制度が適用されたのは1996年の選挙から。今回で25年です。もはや常識になった制度ですが、今回初めて投票する人もいるでしょうから、この際、どういう仕組みで、なぜこんな制度になったのか解説しましょう。
この制度は、「小選挙区」と「比例代表」を「並立」して行うからこの名称があります。小選挙区は個人に投票、比例代表は政党に投票します。
小選挙区は、全国を289の選挙区に分け、ひとつの選挙区からひとりが当選します。小選挙区の「小」とは、面積が小さいことではなく、当選者がひとりであることを意味します。
小選挙区は、二大政党制になりやすい制度であることから、敢えて選ばれました。各選挙区でひとりしか当選しないため、どうしても大政党に有利です。となると、他の中小政党が集結して、もう一方の大政党が生まれやすくなるはずだと考えられました。この2つの政党が政権を奪い合うようになると、ひとつの党が政権を獲得しても、失政があれば次の選挙で政権を失います。その危機感から、緊張感をもって政治を進めるようになるだろうと期待されました。事実、2009年には民主党が政権を取り、2012年には自民党が政権を奪還しました。
しかし、政権交代が起きたのは、この2回だけ。それ以降は自民党の「一強」の状態が続いてきました。自民党に対抗できる強い野党が生まれなかったためです。
かつて中選挙区だった時代は、ひとつの選挙区から3人ないし5人が当選していました。この場合、自民党からは複数の候補者が立候補します。同じ党ですから、政策は同じ。そこで、「私が当選したら高速道路を建設します」「新幹線を誘致します」といった利益誘導型になってしまいがちです。どちらも当選した場合、同じ党であってもライバル同士ですから仲が悪く、それぞれ別の派閥に入ります。こうして派閥政治が続いてきました。派閥のトップは、派閥を維持するための資金が必要。「政治と金」の問題が頻繁に起きていました。
こうした弊害をなくし、政策本位の選挙ができるようにと考えて、小選挙区制を導入したのです。
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source : 週刊文春 2021年11月4日号