イギリスで開かれていたCOP26が、「産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるための努力を追求する」ことなどを盛り込んだ成果文書を採択して閉幕しました。
ここでの会議の一番のポイントは、石炭火力発電所の扱いをどうするか、という点でした。
ちなみにこのCOP26は「国連気候変動枠組条約」にもとづくもので、この条約に参加している国(締約国)の26回目の会議のことです。「気候変動枠組条約」と言っても、なんのことかピンとこないので、通常は「地球温暖化防止国際会議」と呼んでいます。
「気候変動」とは、一般論で言えば、地球の気候が変動することですが、これには自然の要因と人為的な要因があります。自然の要因としては、太陽活動の変化や火山の噴火などがありますが、問題になるのは人為的な要因のほうです。人間の活動で二酸化炭素など温室効果ガスが増加し、気温が上昇することです。
地球は、太陽光によって暖められる一方で、宇宙空間に熱が逃げていくことで、世界全体の大気の温度のバランスが保たれています。しかし、二酸化炭素やメタンガスなどは、まるで温室のように熱を抑え込んで宇宙に逃げないようにする働きがあることから「温室効果ガス」と呼ばれます。
温室効果ガスによって気温の上昇が続くと、南極の氷が溶けたり、海水温が上昇して海水が膨張したりして、沿岸部が水没する危機に晒されます。海水温が高くなると、台風の勢力も強大化し、被害をもたらします。
そこで何とか温暖化を防ごうというのが、この会議。温暖化防止といえば、1997年に京都で開かれた会議(COP3)で、先進国が温室効果ガスを削減する目標を初めて掲げました。「京都議定書」といいます。このとき削減が義務付けられたのは先進国だけでしたが、2015年にパリで開かれたCOP21では、開発途上国も含め、参加国が、それぞれ削減目標を掲げました(パリ協定)。
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source : 週刊文春 2021年12月2日号