10月1日、宮内庁から明かされたのが、眞子さんの「複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)」。その診断について、昭和大学医学部精神医学講座主任教授の岩波明医師(62)が専門家の見地から論ずる。

 結婚会見でも言及がなく今も置き去りにされたままなのが、眞子さんの「複雑性PTSD」についてです。

 報道によれば、眞子さんは、ご自身や圭さん、それぞれのご家族に対する「誹謗中傷」が続き、そう診断されるほど精神的苦痛を感じていたとのこと。ですが、具体的にどんな症状が出ていたのかは、明らかにされませんでした。

 通常、PTSDとは、1つのイベントが原因となります。たとえば、戦争、災害、交通事故、犯罪被害といった死に直結するようなショッキングな出来事。それらをきっかけに、様々な症状が出る病気です。

 一方、眞子さんが診断された複雑性PTSDは、死に直結する単回の体験ではないが、トラウマとなる出来事が長期的に何度も繰り返され、同様の症状が出る病気。虐待やDVなどの被害者によくみられます。

 PTSDの代表的な症状は、原因の体験を意図せず克明に思い出したり、夢に見たりする「フラッシュバック」。不安や緊張を感じる状態が持続し、夜も眠れなくなる「過覚醒」。事故や犯罪に遭った場所に近づけなくなる、といった元の体験に関連することを遠ざける「回避現象」などがあります。酷い場合は「情動麻痺」といって、感情的な反応が失われたり、意識や記憶の連続性に障害がみられること(解離症状)も。

 このようにPTSDとは本来、とても重い病気です。人前に出ることができず、ひきこもりになったり、うつ病になったりしてしまうケースも珍しくない。私は地下鉄サリン事件の被害者のその後を調査したことがありますが、多くの人が何年にもわたってPTSDの症状に苦しんでいました。

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source : 週刊文春 2021年12月2日号