10月31日投開票の衆院選を巡り、広島3区から当選した公明党の斉藤鉄夫国交相(69)を支援した団体が旅費名目で現金を配布し、公職選挙法違反(有権者買収)の疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。支援団体の責任者が取材に対し、旅費の支払いを認めた。

斉藤鉄夫国交相 ©共同通信社

 この支援団体は、茨城6区から当選した自民党の国光文乃衆院議員(42)の選挙活動に際し、岸田文雄首相の応援演説に参加した有権者に日当5000円を支払っていた団体と同じく、トラック協会関連の組織。国光氏は11月18日、公職選挙法違反(有権者買収)に当たるとして、市民団体から刑事告発されている。

 斉藤氏は1993年の衆院選で初当選。その後、環境相や党幹事長など要職を歴任してきた。2017年の選挙までは比例中国ブロックでの選出だったが、今回の衆院選では広島3区に鞍替えし、10回目の当選を果たした。

「広島3区は、河井克行元法相の地盤でした。ところが、河井氏は妻・案里氏が出馬した参院広島選挙区で、ウグイス嬢に法定上限の2倍となる日当3万円を支払ったほか、地元県議や市議ら100人に現金約2800万円を配るなどして、公職選挙法違反(有権者買収)で有罪判決が下されました。自民党は候補者を擁立せず、斉藤氏を支援することになったのです。ただ、汚職事件の舞台となっただけあって、与党候補の斉藤氏は苦しい選挙戦を強いられてきました」(政治部デスク)

有罪となった河井氏と案里氏

 投開票を9日後に控えた10月22日夕刻。斉藤氏は「ホテルグランヴィア広島」の宴会場で、個人演説会を開催した。会場には、茂木敏充外相(当時)らが姿を見せ、「自公協力の最も象徴的な選挙区であります」などと訴えていたという。

「週刊文春」はこの個人演説会の案内状を入手した。名義は〈斉藤てつお事務所〉。本文には、以下のような文章が日時とともに記されていた。

〈このほど下記の通り、「個人演説会」を開催する運びとなりました。時節柄、ご多用中とは存じますが、万障お繰り合わせの上、何卒ご出席を賜りますようご案内申し上げます〉

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source : 週刊文春 2021年12月2日号