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米名門大が8000品目を分析「体にいい食品」点数リスト

《100点 大豆、豆腐…やっぱり豆“最強”》《1点 白米、寿司、ボトル入り緑茶》《ヨーグルト、豆乳、牛乳の勝者は…》

「週刊文春」編集部
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 8000品目を超える食品を100点満点で採点――いかにもアメリカらしい大規模な研究が発表された。膨大な量のスコアからピックアップした表を、私たちはどう読み取り、どう役立てればいいのか? 内外の識者が徹底解説!

 自分が今食べている食品、体にいいのだろうか。100点満点なら何点くらい?

 そんな素朴な疑問に答える研究が米国で発表された。10月14日、8000品目を超える食品の“健康度”をスコア化したリストと論文が、科学誌『ネイチャー』の食品部門『ネイチャー・フード』に掲載されたのだ。

 それが「フードコンパス」。全米大学ランキングで上位30校に入るタフツ大学の栄養科学政策学部長で、2015年のトムソン・ロイター社が選ぶ「世界で最も影響力がある科学者」の一人に選出された、D・モザファリアン氏のチームが開発した。

 9領域、54の属性をもとに、食品の健康度を採点。米国の代表的な食品データベースに登録された食材や料理を、最高100点から最低1点までスコア化したものだ。米ニューズウィーク誌が取り上げるなど反響を呼んでいる。

 モザファリアン教授は小誌の取材にこう語る。

「フードコンパスは、日本を含む世界中で使用できるように設計されています」

 スコアの高いものと低いもの、日本人に馴染みのある食材をピックアップしたのが以下の表だ。

 

 点数は、食事の目安として100~70点を“奨励”、69~31点を“適度に”、30~1点を“最小限”としている。品目は12種に分類され、それぞれの平均スコアも算出されている。

 その中で、最も評価が高かったのが豆・ナッツ類だ。

 

 糖尿病の専門医、AGE牧田クリニックの牧田善二院長は「豆、ナッツの評価が高いのは妥当」と語る。

「豆やナッツに限らず、この表のうち高スコアの食品の多くについては、食にかかわる研究者たちも納得すると思います」

“畑の肉”と称され、タンパク質含有量が高い大豆(100点)。その効能は多岐にわたると京都女子大学家政学部食物栄養学科の今井佐恵子教授は指摘する。

「血圧を下げるカリウムや、コレステロール低下作用のある大豆サポニンも含まれています。実は、大豆の消化吸収率は60%程度ですが、これを豆腐にすると90%以上になります」

 もちろん豆腐も100点。大豆を発酵させた納豆も93点だ。管理栄養士の安中千絵氏は「中年以上の方々にぜひ食べてほしい食材」と納豆を推奨する。

 
 

 同じく大豆製品である豆乳も71点と、牛乳の53点を大きく上回る健闘ぶり。牛乳は動物性脂肪が含まれるが、豆乳は植物性で、コレステロール値はゼロだ。

 

 その豆乳をさらに上回るのが、88点のヨーグルトだ。安中氏が言う。

「日本は米国と比べて乳製品の摂取量が低く、カルシウムが不足しがち。また、高齢者はサルコペニア(筋肉量の低下)が起こるので、タンパク質をとるよう指導される人が多い。ヨーグルトならどちらも補えますし、無糖のギリシャヨーグルトは高タンパクなものが多く、お勧めです」

 果物、野菜にも100点が続出。特に野菜は、表から省いたものを含めて、実に305品目が100点だ。だが、管理栄養士の岸村康代氏は意外な落とし穴を指摘する。

 

「実は、生野菜だけでは摂れる栄養は少ない。100g程度のレタスがメインのサラダだと、ビタミンや食物繊維もわずか。にもかかわらずドレッシングを使いすぎると害の方が大きくなる」

 たしかに無脂肪シーザードレッシング(1点)など、ドレッシングの評価は芳しくない。

 だが野菜には、調理しても100点を維持する品目も多い。

「加熱しても生と同等の栄養が摂れる方法があるのです。レンジ調理は水溶性栄養素の損失が少ないし、人参に含まれるβ-カロテンやトマトに含まれるリコピンは、加熱や粉砕したほうが吸収されやすい」(同前)

 

 さらに、愛知学院大学心身科学部の大澤俊彦特任教授は、野菜がもつ酵素の持続力に言及する。

「例えばブロッコリーを食べると、体内で酵素を誘導し、抗酸化酵素や解毒酵素の値が高くなる。その持続時間が72時間くらい。だから私は同じ食材を毎日食べる必要はないと思っています。ブロッコリーなら3日に1回といったように、バランスが大切です」

 この表では、食材だけでなく、料理も同列にスコア化。ひよこ豆とほうれん草のインドカレーなどが100点を獲得している。

「私は元々野菜がたくさん入ったカレーを評価しています。カレー粉の成分は脳の血流を改善させるという研究もある。唐辛子に含まれるカプサイシンやコショウ、さらにウコンに含まれるクルクミン。これが脳機能に良い影響をもたらすと考えています」(同前)

 対して、カレー同様、日本人にとっては“国民食”ながら17点に甘んじたのがラーメンだ。塩分量が多く、カロリーも高い。

「塩分を減らしてスパイスを増やすことを提案します。ラーメンの麺自体は、実はそこまで問題ではない。脳はグルコースがないと働きませんから、特に朝食向き。ただ、出来るだけ具材の多い、タンメンなどにするのがよいでしょう。塩分は一日6g以下にすべきと言われていますが、ラーメン1杯で5~6g入っていることもあります」(同前)

 魚介では、生魚全般が100点を獲得。モザファリアン教授も太鼓判を押す。

 

「刺身も、もちろん非常に高いスコアが得られます」

 ところが、その生魚が白米にのった寿司のスコアは1点だ。日本人の主食である白米も同じく1点。これはどういうことなのか?

「白米は、本質的に100%ブドウ糖。食後には血糖値が急激に上昇するため、糖尿病のリスクが高まります。つまり、白米はほとんど“隠れた砂糖”と考えるべき。私は白米をサイドディッシュと捉えるのをお勧めします」(同前)

「緑茶が1点」のナゾ

 しかし、これには日本側から異論の声も。

「白米は(同じく1点の)清涼飲料水に比べると血糖値が緩やかに上がりますし、白米100gあたり1.5gの食物繊維が摂れる。1点はさすがに厳しすぎるのではないか」(岸村氏)

 ちなみに寿司はシャリの状態についてのスコア。これにマグロがのったら46点だという。たしかにシャリには砂糖や塩が加わるが……。今井教授が言う。

「一方で、酢には血糖値上昇を緩やかにする作用もあり、何より寿司は生の魚介類をおいしく食べられる。血糖値上昇も、サラダ、茶碗蒸しなどを先に食べることでやわらげられます」

 このスコアでは、日米の食文化の違いに留意する必要がある。たとえばボトル入り緑茶。抗菌作用のあるカテキンが含まれ、カロリーもないのに1点だ。

「米国では緑茶に甘味を添加したドリンクが多く、日本で売られている緑茶とは別物と考えていい。日本では、緑茶をたくさん飲んでいる人の死因には心疾患や脳血管疾患が少ないという研究結果もありますから、推奨できます」(安中氏)

 一部のスコアには注意も必要だが、そのうえで大澤教授は言う。

「元々日本人は一汁三菜にプラスアルファという食生活でした。それにもう一度戻すとまではいかなくても、そこに近づくような栄養の摂り方をしていきたい。そのためにバランスを意識しつつ、このスコアを役立てるのがよいでしょう」

 食生活は、健康を害する原因の中で、修正可能な主たるものである――本論文ではそう述べられている。日々の生活の中で、改善を心がけていきたい。

 

source : 週刊文春 2021年12月9日号

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