「待ってました! 細川たかしさんの圧倒的な歌声が、必ずや日本をカラフルに盛り上げますから!」
と司会の大泉洋の大げさな前フリで6年ぶりの出場を果たしたのは、演歌の大御所・細川たかし(71)だ。

『望郷じょんから』を歌い上げ、『北酒場』では同郷の大泉とデュエットするサービスまで披露。
細川といえば、紅白にも「世代交代が必要」と、16年に自ら卒業宣言。紅白の舞台からは退いていた。
「大泉さんの出身地の北海道推しと、特別企画枠という立てつけでしたが、『卒業宣言した人がなぜ……』という違和感は拭いきれなかった」(スポーツ紙デスク)

実はこの復活の裏側には、ある“大きな力”が働いていたという。
「細川さんは紅白に出たい気持ちはあった。ただ15年には森進一さんが卒業するなど、若返りを図る紅白から落選を突きつけられるのを嫌い、自ら辞退したのです」(NHK関係者)
そこで重要な役割を果たしたのが、ある局員だった。
「昨年NHKを定年退職し、再び雇用された元紅白チーフプロデューサーの吉田豊久氏です。バーニングの周防郁雄社長にくい込み、“周防番”を担当。紅白や『うたコン』などに、しばしばバーニング関連の歌手を出演させていた」(同前)
実はその吉田氏が昨年、日本音楽事業者協会(音事協)のアドバイザーに就任していたのだ。
「音事協は理事なら年間2000万円もの報酬が得られる業界団体の天下りポスト。吉田氏は就任後、かつてバーニングに所属していた細川さんの紅白出演を実現させたのではと囁かれているのです。彼は今回の紅白でチーフプロデューサーを務めた一坊寺剛氏の元上司でもあります」(同前)
ある紅白関係者は本番当日、象徴的な場面を目にしたという。
「中継場所の東京国際フォーラムの最上階にある高級中華『東天紅』に、周防社長、尾木プロの尾木徹社長など音事協を牛耳るVIPが一堂に会していました。なんとその同じテーブルに吉田氏も同席。隣には細川さんが座っていたのです」

かつてキャスティング権を握る立場であった人物が局に籍を置きながら、業界団体のポストを兼業するというのは、癒着を疑われかねないのではないか。
NHKに事実確認をすると、吉田氏との雇用関係はあると認めた上で、「個別の職員や元職員についてはお答えしていません。番組の演出やご出演者との交渉などに関わることにはお答えしていません」と回答した。
カラフルな紅白に相応しい玉虫色の答えだった。
source : 週刊文春 2022年1月13日号