ウクライナ情勢は、依然として緊迫が続いています。ウクライナを取り巻く形で、ロシアは三方向からウクライナに圧力をかけています。

 ひとつはウクライナとの国境に沿ったロシア国内。二つ目はベラルーシ国内に「ベラルーシ軍との共同演習」の名目で入った軍。三つ目は2014年に占領したクリミア半島。それぞれに軍隊を配備しています。このうちクリミア半島に向けては、ロシア海軍の強襲揚陸艦がボスポラス海峡を通って黒海に入りました。「強襲揚陸艦」という名前の通り、敵地に兵員と戦車や装甲車を送り込む船のこと。「いつでもウクライナに南部から攻撃を仕掛けることができるぞ」という姿勢を示しています。

 また、ウクライナとの国境沿いのロシア国内には、野戦病院の設営も進んでいるそうです。戦争になれば多数の負傷者が出ますからね。

 こんな様子を見ると、ロシアは本気で攻撃を仕掛ける気だと思ってしまいますが、強硬な姿勢を示すことでロシアの言い分を認めさせようとしているだけかも知れないのです。

 こうした情勢を受け、「もしロシア軍とウクライナ軍が戦ったら、どうなりますか?」という質問を受けるようになりました。

 2014年にロシア軍がクリミア半島を電撃的に占領した際、ウクライナ軍は、わずか5万人程度でしかなく、ロシア軍と戦うことすらままなりませんでした。さらにウクライナ東部の親ロシア派による武装勢力にも太刀打ちできず、武装勢力は「ドネツク」と「ルガンスク」という二つの自称国家を設立しました。

 この地域をめぐっての戦闘では、これまでに兵員と住民計1万4000人の死者を出しています。

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source : 週刊文春 2022年2月24日号