楽天グループは今年2月7日に創業25周年を迎えた。ここまで会社を大きくするまで本当に様々な浮き沈みがあったけれど、事業を進めていく日々のなかで、僕が大事にしていることが一つある。

 それは、様々な「ルーティン」を意識的に続けるようにしていることだ。

 例えば、新年は創業時のオフィスだったビルの近くにある愛宕神社に参拝し、役員一同で1年の無事と飛躍を願っている。参拝の行列の様子を見るのが、今年も実に感慨深かった。

 今から四半世紀前、ゼロから起業を志した時、「企業は世の中に対して何をするべきなのか」ということを自らに何度も問いかけた。その中で言語化した「付加価値を生まないサービスには意味がない」という信念で、これまでビジネスを展開してきた。

 こうして25周年という節目を迎え、「今の自分は何合目にいるのだろうか」とふと考えたりもする。これまで山登りで言う「7合目」あたりに来た時に、必ず次の目標を設定するということを繰り返してきた。そうした時間の感覚を抱けるのも、正月の参拝というルーティンを続けてきたからだと思う。

 あるいは月曜日の朝、自分の机やオフィスを掃除することも、僕にとっては欠かせないルーティンの一つだ。自分のデスクの上や椅子の脚を拭き、モップで周りの床を拭いてから、窓のサッシもきれいにする。普段は清掃員の方がしてくれる仕事だけれど、どれだけ忙しくても、月曜日の朝だけは自分で行うようにしている。そうすることで、気持ちを初期化できるからだ。

 他にもときどき10分ほどの瞑想の時間を用意することもある。そんなふうに「会社のみんなで何かを続ける」という話をすると、ちょっと古風なものを感じる人もいるかもしれない。

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source : 週刊文春 2022年3月3日号