『ミステリと言う勿れ』、安楽椅子探偵というのがあるけれどこれは「巻き込まれて困ってる探偵」物か。
その、飄々と困っているアフロみたいな天然パーマの大学生、久能整(くのうととのう)が菅田将暉。何かと巻き込まれてバスジャックに遭ったり、ケガして入院した先で事件に遭ったりしている。で、ぼーっとしている。でも突然立て板に水みたいにどうでもいい知識などを棒読みっぽく語りまくる。「週末にカレーをつくる」のを決まりのようにしているが、こだわりもなさそうでできたカレーもフツー。スパイスに凝ったりしない。
この「今までにいた探偵とはちょっと毛色がちがって、らしくない」キャラ設定が「今どきの探偵」そのもの。「変わった探偵なんですよ~」と押してくる感じがまさに「典型的探偵」。
なぜか事件に巻き込まれる大学生が、犯人や、犯人のそばにいる人物や、刑事や警官や、通りすがりの人たちの中で「え? え? うーん、あ、これは」とか言いながら「物の見方を変えてみると別の真実が見えてくるんですよ」とスルスル謎を解く。これはもう見飽きた展開です!
しかしこれ、原作がマンガで、マンガも一緒に読んでいると見方が変わってきます。ネットでコミックスの2巻まで試し読みでタダで読んで、そのあとの巻をまんまと買ってしまったのだが、このドラマをテレビでしか見てなくて、イマイチはまらない人は、マンガも読んでみてほしい。
「すげーうまい!」のです。何がって、キャスティング。小日向文世の元刑事とか筒井道隆の警部とか、尾上松也の警官はちょっとうるさいが。天使と呼ばれる放火魔の早乙女太一が出てきた瞬間うなる。マンガのほうではフードかぶったナゾの美青年、こんなヤツいねーよ! と言いたくなるようなキャラ、これを早乙女太一がいい具合に薄汚れた演技でやるとすげえリアル、あーコイツはこういうヤツだったのかって納得しますよ。そうやって見ていると菅田将暉もアリかと思えてくる。久能整というキャラはけっこう作者がむりやりつくった感があるのに、こうして菅田将暉がアフロにしてるの見ると「ああ、こういう方なんですね」と納得する自分がいる。
ただ一点、私が「このキャストは違うだろ!」と思ったのが「病院の温室の管理人」役。マンガでは、みょうに印象的な、よさそうだけど実はワルなのではと思わせてやっぱりよさそうな女の人。テレビの番組表に門脇麦の名前を見て「門脇麦ハマりすぎ!」と思って見ていたら門脇麦は「ナゾの美女・ライカ」役だった……。温室の人は阿南敦子で、私としてはこの二人は役を取り換えてもいいんじゃないかと思うが、ダメでしょうか。
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source : 週刊文春 2022年3月3日号