NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』も回を重ね、三月上旬で第十八週に。四月八日の最終回まで残り僅かだ。

 初回から欠かさず観てるんだから、よほど『カムカム』が好きなんだろう。でも、オイオイ何これはと首を捻るときも多々ある。

 最近では、初代ヒロイン安子(上白石萌音)の兄、算太(濱田岳)が突然の再登場。安子がやっと貯めた開店資金を持ち逃げしたロクデナシだ。途方に暮れた安子が優しいアメリカ人を頼り、結果として娘のるい(深津絵里)を置いて渡米した悲劇の張本人だ。

 三十年間、姿を消していた算太がチラッと現れたらば、視聴者は騒然、さまざまな推理と臆測が飛び交った。算太の口から、渡米して再婚した安子の消息も聞けるかもしれないとか。

 京都の撮影所に出入りして、相変わらず胡散臭いハッタリかましてる算太が、撮影所に就職した、るいの娘ひなた(川栄李奈)の素姓を知らず家の前まで行き、中から「るい!」と呼ぶ夫の声を聞き、腰を抜かしたんだろうな、すっと姿を消して、それで終り。

 なんじゃこりゃあ! いかにも意味あり気なシーンをチラ見させ、関心を煽っておいて、ゴミ箱にポイ。視聴者も、そろそろ《伏線と回収》の呪縛から解き放たれる時期だ。下手な伏線なんて時間の無駄。回収を無視して放り投げても、面白いドラマはある。

 しかし私にも関心事がある。るいの夫、錠一郎(オダギリジョー)が再びトランペットを吹く日はいつ来るのか。るいと結ばれ、コンテストでも優勝し、本格デビュー目前のジョーが、突然楽器が吹けなくなり、暗闇の世界に堕ちた。なんでペットが吹けないの?

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2022年3月17日号