「週刊文春」の名物連載に「新・家の履歴書」があります。著名人に生まれてから現在までの家の変遷を聞く。そこに知られざる人生が浮かび上がってくる。最近では、歌手の戸川純さんや声優の緒方恵美さんの回が、ネットで話題になっていました。ファンでも知らなかったエピソードが綴られていたからです。元騎手の細江純子さんにも先日、ご登場いただきましたが、ツイッターで、
<週刊文春【家の履歴書】
過去には尊敬する井崎先生も出演され、また長年、母が楽しみにしてきたコラム。嬉しい依頼でした>
そう、この連載は、今週号で774回を数えます。始まったのは1994年9月24日号。第1回は棋士の羽生善治さんでした。第2回はグラビアアイドルの岡本夏生さん。第8回には、サッカー選手のマラドーナも。タイトルに「新」がつくのは、2004年に一度終了し、2006年に再開したからです。
取材を依頼しても断られることは少なくありません。何しろ、家は個人情報の塊。それを何とかお願いし、優れたライターがまとめる。
先月、過去の「家の履歴書」から女性漫画家12人をセレクションした「少女漫画家『家』の履歴書」が文春新書から刊行されました。おかげさまで、好評で重版もかかりました。
この本を企画したのは、「週刊文春」セクション班にいたKさんでした。少女漫画が好きだったKさんは、自らも「新・家の履歴書」で「エロイカより愛をこめて」で知られる青池保子さんの回を担当。毎年行っている全部員との面談の際に、「これだけ少女漫画家が登場しているなんて、すごい財産ですよ。絶対、本にした方がいいですよ。セクション班のメンバーみんな、そう言ってます!」と熱く語っていました。そのKさんが文庫部に異動が決まった時にも、その話になり、「ぜひ、文庫オリジナルで」という話をしたのを覚えています。ただ、残念ながら文庫では企画が通らず、新書にいたT君に、その企画が渡ります。実はT君も、かつてセクション班で「家の履歴書」を担当していました。T君が新書で企画を出し、部長は興味を示してくれましたが、「単行本の方がいいのでは」とアドバイスがあり、単行本編集部に持ち込みましたが、残念ながら、ここでも通りませんでした。
それを聞いた新書の部長が「では、うちで本にしよう」。しかし、そうこうしているうちにT君が新書を異動することになります。それを引き継いだのがIさん。彼女は、70年代少女漫画世代ではありませんが、自分にとっての新たな文化「少女漫画」を楽しみながら、本を作ったそうです。そのIさんを助け、帯用に、少女漫画界のレジェンド・山岸凉子さんのコメントをもらってくれたのが、もう一人のIさん。このIさんも、かつて「家の履歴書」を担当していました。Kさん→T君→Iさん→もう一人のIさんと、4人のバトンがつながって、本となって世に出て、多くの人に読まれることになった。
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そして、バトンは渡された~名物連載「家の履歴書」秘話