ロシアのプーチン大統領が焦っています。ウクライナなど数日で制圧できると高を括っていたのに、想定外にロシア軍が苦戦しているからです。ウクライナ情勢を事前に調査していた情報機関の責任者が責任を問われて自宅軟禁になっているという情報も流れています。
ロシアとウクライナの軍事力を単純に比較すれば、ロシア軍が圧勝すると考えても仕方のないことだったのかも知れませんが、事態はそうは動いていません。ウクライナ軍が善戦している理由は、少なくとも3つはあります。それを解き明かしていきましょう。
1つ目は、両軍の戦意の差です。ウクライナ軍の兵士にしてみれば、ロシア軍は祖国に攻め込んだ侵略者。祖国を守り、故郷を守り、愛する街と家族を守る。必死になるのは当然のことです。
一方、ロシア軍の兵士にすれば、今年初めからウクライナ国境沿いで長期間の軍事演習をしていました。極寒の中、長い間故郷を離れていれば、戦意が下がるのは当たり前。ましてウクライナに入ったら歓迎されると思っていたのに、激しい反撃にあった上に、住民の敵意にさらされる。何で自分はこんな目にあわなければならないんだと考えますよね。さっさと降伏してしまう兵士も出るし、降伏しないまでも、積極的に攻めていく気にはならないでしょう。
2つ目は情報戦です。アメリカは早い段階から「ロシア軍の侵攻の可能性」を把握し、欧州の同盟国に伝えていました。ゼレンスキー大統領は、表向き「アメリカは騒ぎ過ぎだ」などと不快感を示すような態度を取っていましたが、実際には綿密な準備をしていたことがわかります。
アメリカは、事前の情報でロシア軍の侵攻ルートを予測。ウクライナ軍は塹壕を掘って待ち構えていました。いまどき塹壕戦など第1次世界大戦か、と突っ込みを入れたくなりますが、ロシア軍の戦車や装甲車、軍用トラックを迎え撃つには必要な態勢です。
さらにSNSの活用です。ロシア軍が接近するのを見た住民たちが、SNSでウクライナ軍に報告しているのです。軍の担当者が情報を精査して前線の指揮官に伝えています。
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source : 週刊文春 2022年3月31日号