「私たちは海でも空でも森でも畑でも、そして海岸でも街でも最後まで戦い続ける」
これは、第2次世界大戦中の1940年6月、イギリス下院の議場でチャーチル首相が演説した有名な言葉です。
このときイギリス軍は、ドイツ軍の電撃作戦で苦境に立ったフランス軍を支援するために大陸に派遣されていましたが、敗北。30万人を超える兵員を辛うじてイギリスに撤退させていました。「ダンケルクの戦い」として知られる軍事作戦です。
チャーチル首相は、ドイツ軍の進撃になすすべがなく落ち込んでいたイギリス国民に対し、こう言って奮起を促したのです。
この言葉が今月、再びイギリス下院の議場で聞かれました。ただし、今度はウクライナ語で。ゼレンスキー大統領がビデオ演説でイギリスの支援を求めたときのことでした。ウクライナ国民は、決してあきらめることなく戦い続ける意志を示したのです。
イギリス人にとって、この言葉はナチス・ドイツに打ち勝つことができた歴史を思い起こさせます。大統領演説の後、議員たちはスタンディングオベーションで応えました。
ゼレンスキー大統領の演説は見事でした。ロシアのプーチン大統領は、「ウクライナ政府はネオナチだ」と言って軍事侵攻したことに対し、ナチスと果敢に戦ったチャーチルの言葉を選ぶことで、ナチスはどちらだ、ということを示したのですから。
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source : 週刊文春 2022年3月24日号