ウクライナに侵攻したロシア軍について、ロシアは首都キエフなどへの攻撃を「劇的に減らす」との考えを示しました。まるで太平洋戦争中の日本軍が撤退を「転進」と言い換えたようなものです。
ロシア軍はベラルーシから国境を越えて首都キーウ(ロシア語読みはキエフだが、以降ウクライナ語読みにします)に進撃しましたが、ウクライナ軍の頑強な抵抗にあって頓挫。短期間で決着がつくと高を括って、燃料や食料の補給を軽視していたため、飢えたロシア兵が食料品店を襲撃する様子が商店の防犯カメラに記録されています。補給を軽視して現場の兵士が困窮するなど、日本軍のインパール作戦を想起します。
そういえば、1939年11月、当時のソ連軍はフィンランドに侵攻しましたが、このときもソ連はフィンランドを「小国」と見下し、簡単に勝利すると思っていたところ、地元の地理に詳しいフィンランド軍の創意工夫を凝らした抵抗に翻弄され、苦戦を強いられました。
これを見ていたのが、ドイツのヒトラー。ソ連軍は強大だと恐れていたのですが、フィンランド軍に苦戦する様子を見て、「これならソ連軍に勝てる」と判断し、ソ連侵攻を決断したと言われています。
今回あまりのロシア軍のお粗末さを見て、「ロシア軍なにするものぞ」と勘違いしてしまうと、また別の悲劇を生みかねません。どこの国の軍隊でも、大義のない戦争に駆り出されれば弱いもの。でも、祖国を守るとなると、いずれも力を発揮するのです。ドイツ軍の侵攻に、ソ連軍は大きな損害を出しながらも頑強に抵抗できたのですから。
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source : 週刊文春 2022年4月14日号