人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
近々、文庫化される『見仏(けんぶつ)記 道草篇』は、シリーズ8作目。
作家のいとうせいこう氏と各地の仏像を求めての旅は30年目に突入した。
早くも3巻目で海外へ飛び出した我々は、韓国、タイ、中国、そしてインドへ渡ったが、それは修行の長旅と違い、
「やっぱ次は中国でしょ」
「パンダも見たいしね」
などと、日本に戻ってきて次の計画を立てる、いわば仲いい夫婦の旅行のようなもの。宿泊先でもほとんど同室だったしね。
でも中国の旅はかなりハードスケジュール。北京から夜汽車に揺られ、朝早くから大同(だいどう)という街の雲崗(うんこう)石窟を見学した我々は若い現地の女性コーディネーターと共に車に乗り込み、次の目的地へ向った。
「ここからが大変ですからね」
助手席から振り返りながら彼女はそう言って微笑んだ。
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source : 週刊文春 2022年4月14日号